北見市とカーリング
北見市とカーリング
1 はじめに
北見市は、誰もが生涯の各期にわたって、それぞれの体力や年齢、目的に応じてスポーツに親しむため、生涯スポーツ社会の実現を目指し、第3次北見市社会教育計画 (R3~R7)を策定し、生涯スポーツの推進、競技力の向上を図るスポーツ活動の推進に努めております。
その中でも、北見市のスポーツ振興全体の中でも特色のある「カーリング』(常呂)についてご紹介します。
2 北見市の紹介
北海道の東部に位置する北見市は、人口約115,000人、面積は1427.56 k㎢と全国第4位の広さで、東西に伸びる道路の距離は東京駅から箱根や富士山頂までの距離に相当する約 110kmあり、長さは日本一です。広大な土地と豊かな自然を背景に全国に誇れる資源として、オホーツク海やサロマ湖からはホタテ貝、鮭、牡蠣などの豊富な魚介類、大地からは全国一位の生産量を誇る玉ねぎ、白花豆、麦や甜菜、ジャガイモなどの食材が出荷されております。
観光では、北見市留辺蘂町にある山の水族館、国指定史跡の常呂遺跡をはじめ、ハッカ記念館やピアソン記念館などの歴史遺産、日本最大の海岸草原であるワッカ原生花園があり、近隣にある世界遺産の知床や流氷見学などとともに、オホーツク観光の拠点となっています。
また、カレーライスマラソンやサロマ湖100kmウルトラマラソンなど、 地域色豊かなイベントも数多く開催されています。日本トップリーグのラグビーを中心としたスポーツ合宿も盛んです。
3 北見市のカーリングの歴史
平成18年3月に旧北見市、旧端野町、旧常呂町、旧留辺蘂町の1市3町が合併し、現在の北見市が誕生しました。カーリング競技は、合併以前から、旧市町においてそれぞれ取り組んできました。
(1) 旧北見市からの取り組み状況
旧北見市では、昭和58年11月,初心者講習会に参加した受講者を中心にカーリング愛好者が集まり、「北見カーリング同好会」が誕生しました。昭和60年には、大会への参加希望者が増えると同時に、協会設立の機運が高まり、同年10月に協会が設立され本格的な活動が始まりました。昭和61年頃から、会員も増加し大会に参加する機会が多くなりましたが、練習する施設は満足できるものではありませんでした。 このような中で、平成元年「河西建設女子チーム」が、第2回全日本選手権で優勝し、同年12月にエンゲルベルク (スイス)で開催されたチャレンジマッチでも準優勝、アジア圏では初めて世界選手権の出場権を獲得し、翌年3月バステラオース (スウェーデン)で開催された大会に出場しました。同チームの世界選手権出場は、将来の日本カーリング界に大きな夢と希望を与えました。また、平成4年のアルベールビル冬季オリンピック (フランス) のデモンストレーション競技には、協会から2名の選手が出場し、同年ドイツで行われた世界選手権大会にも出場しています。
一方、練習用の施設は平成7年10月、河西建設㈱が、屋内専用の「河西建設カーリングホール」 (2シート)を建設し、令和元年度まで、 北見市、端野町のカーラーの活動拠点となりました。令和2年10月, 北見市にアルゴグラフィックス北見カーリングホールがオープンし、 北見市には、カーリング専用施設が2拠点となりました。
(2) 旧端野町からの取り組み状況
旧端野町では、町内の農業青年が冬季間の運動不足解消のためカーリングを取り入れ、昭和59年12月に協会を設立しました。翌年1月から、町営テニスコートに4シートのカーリング場を造成し、本格的な活動を開始しました。町内では、リーグ戦や大会が盛んに行われたほか、他の協会との交流も行われ、会員も一時期は100名に迫るまでになりました。リーグ戦は、20数チームが3部に分かれ競い合ったほか、 全道規模のミックスカーリング大会(昭和63年から平成6年)も主催し、道内の競技関係者には大変好評でした。平成4年、スポーツ振興基金を活用して、カナダに10名の研修団を派遣し、当協会名誉会員のグレン・アレン氏のサポートを受け、バンクーバーやビクトリアを中心に意義深い研修を行ってきました。しかし、屋外カーリング場では制約が多く、次第に会員数が減少し、平成7年からは、隣町の河西建設カーリングホールに活動の拠点を移し、令和2年10月からは、アルゴグラフィックス北見カーリングホールを活動の拠点としています。
(3) 旧常呂町からの取り組み状況
旧常呂町では、北海道とカナダ・アルパータ州の姉妹提携を縁に行われた「カーリング講習会」をきっかけに導人され、 昭和55年1月にスケートリンクの片隅で、ビールのミニ樽を利用した手作りのストーンからその歴史が始まり、同時に協会を設立して活動と普及に乗り出しました。昭和56年2月に、元世界チャンピオンでカナダ・アルバータ州在住のウォリー・ウースリアク氏による指導者講習会を開催し、スケートリンクの一角に2面のリンクを造成して本格的な普及を始めるとともに、第1回NHK杯カーリング選手権大会を開催し、今なお国内では最も歴史ある大会として位置付けられており、カーリングの普及と技術の向上が図られました。昭和62年、「はまなす国体デモンストレーション競技」としてカーリング競技が旧常呂町で開催されることが決まり、その競技会場として国内初の「屋内カーリング専用リンク」の建設に着手し、翌年の昭和63年1月に5シートの「常呂町カーリングホール」が完成し、平成元年2月に、全道から男子32チーム、 女子12チームが参加して国体が開催されました。
カーリングホール完成後は、この地域の競技力が著しく向上し、常呂町の選手が北海道選手権や日本選手権の上位を占めるとともに、多くのオリンピック選手を輩出しております。
(4) 旧留辺蘂町の取り組み状況
旧留辺蘂町では、昭和56年2月、旧常呂町で開催された指導者講習会に体育指導委員と町体育担当者が参加し、町民への普及に努めました。昭和58年、町内スケート大会において、大会種目の一つとしてカーリングを取り入れ、ストーンの代わりに、廃棄となった家庭用の小型ガスボンベにコンクリートを詰め込んだものやプラスチック製の漬物石を使用して競技を行いました。3年間続きましたが、町民スケート大会が中止になると同時に、手作りのストーンが披露されることはありませんでした。平成8年に行われた「道民スポーツ管内大会」には、1チーム6名が参加しておりますが、屋内の施設がないことから、 カーリングの普及には至りませんでした
合併以前に設立された、北見カーリング協会、端野カーリング協会は平成19年に合併し、平成20年には、常呂カーリング協会を含め3協会は、合併後の平成20年、一つの組織として新たな「北見カーリング協会」が誕生しました。
4 アドヴィックス常呂カーリングホール
昭和63年に旧常呂町に建設されたカーリング専用ホールは、老朽化等が著しく、通年利用型カーリング専用ホールとして、平成25年に新たに建設されました。
《施設概要》
(1)名称:アドヴィックス常呂カーリングホール
(2)位置:北見市常呂町字土佐2番地2
(3)面積:延床面積3,459.14㎡
(4)構造等:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造 2階建
(5)駐車場:89台(一般車両76台 車椅子10台 大型バス3台)
(6) シート:6シート (45.72m W5.00m) ※国際基準適合シート
(7)観覧席:2階固定席186席 車椅子12席交流サロン 36席
※大会時には2階スペースに仮設席78席増設可能
※ホール内2シートに仮設席 700席を想定 最大収容客席 1,012人を想定
(8)外観:地域のイメージを代表するホタテ貝の柔らかな曲線と色調を導入した外観は、カーリング競技の持つ優美なイメージともマッチし、施設自体が新たなランドマークを形成。
(9)建設:建物建設 工期/平成24年9月1日~平成25年9月30日外構工事 工期/平成25年6月25日~10月28日
5 北見市常呂町のカーリング振興
(1)指定管理者公募、選考、監督及び指導
(2) 生涯スポーツの振興
① カーリング教室(初心者含)の開催
②ジュニア向けカーリング教室の開催
③学校授業での取り組み (R2年度)
小学校(7枚) 中学校(3校) 高等学校(1枚)
(3) 競技スポーツの振興
《各種大会の開催》
・アドヴィックスカップ
・NHK杯カーリング選手権大会
·佐川町長杯常呂自治区カーリング大会
・常呂自治区ジュニアカーリング大会
(4) スポーツと融合した地域振興
①カーリング合宿の誘致
6チーム R2年度
※その他、日本カーリング協会、北海道カーリング協会等の合宿を随時受け入れ。
②北見市カーリング支援委員会の運営支援
目的:北見市のカーリング競技における選手育成や環境整備などの支援行い、地域の活性化を目指す。
事業:・選手及びチームへの支援
・選手の育成・事業の啓発
・事業の連絡調整・資金の運営管理 など
組織:目的に賛同する個人、法人及び団体会員
北見商工会議所 常呂漁業協同組合 常呂町農業協同組合 北見市観光協会
北見建設業協会 北見青年会議所 北見信用金庫 北海道新聞社北見支社
北見市長ほか
支援内容:ジュニア世代への育成支援、北見市在住選手の全国・ 全道大会等の出場への支援など。
6 オリンピックとカーリング
平成10年の長野冬季オリンピックからカーリングが正式種目となり、 合併前の旧常呂町を含め、7大会連続で北見市出身選手が出場しています。
平成10年/長野 男子3人 女子2人(旧常呂町)
女子1人(旧北見市)
平成14年/ソルトレークシティー 女子4人(旧常呂町)
平成18年/トリノ 女子3人(旧常呂町)
平成22年/バンクーバー 女子2人(北見市)
平成26年/ソチ 女子4人(北見市)
平成30年/ピョンチャン 男子1人 女子5人(北見市)
令和 4年/ベキン 女子4人(北見市)
7 北見市のカーリングのこれから
北見市教育委員会社会教育部では、『健康づくりと競技力向上や地域に根ざしたスポーツ活動の推進」を、第3次北見市社会教育計画で揚げており、生涯にわたって、健康で明るく豊かな生活を送ることが市民の願いとしています。そのため、市民の日常生活の中にスポーツやレクリエーション行動を取り入れることのできる生涯スポーツ社会の実現に向けた環境整備やソフト事業の推進を「カーリング」を活用しながらこれからも実施する予定であります。
生涯スポーツ~競技スポーツ~地域振興というスパイラルを結ぶコーデイネーターとしての役割を発揮できるよう務めていきます。